夢を語る男
夢を語る男がいた
その夢を喰う女がいた
男は女のために
せっせと夢を語り
女はその夢を
食い散らかしていた
女は夢を食べていないと
死んでしまう
ある日男は女が食い散らかした
自分の夢の残骸を食べてみた
不思議な感覚に襲われた
それは女が自分の夢を
喰らってるときの
あのときに味わえる快感より
数倍もの快感だった
男は夢を喰らってる
女のそばにいくと
女の首を掴んだ
そのまま女を飲み込んでみた
数百倍の快感だ
女はいなくなった
女のいなくなった男は
夢を語る相手もおらず
そのまま立ちつくし
空を仰いだ
男はそのまま石になった
ほらこれがその石のかけらだよ
男が開いた手のひらには
なにもなかった