文学と占いは相通じるものがある

小説家になることを諦めた男のつぶやきです。

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小説 ローソクを持つ女 1(全3回)

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上玉だ。
こんな女が俺に言い寄ってくるなんて、今日
はついているのか。

昼間に(嫌)な事があったばかりだ。
嫌な事を忘れるには、最適な出会いだ。

嫌な事は、俺に原因があり、すべて俺のせい
なのだが、嫌な事にかわりはない。
そんな時出会った、この女、、ラッキーとし
かいいようがない。

女の容姿は、まさしく、俺の理想の女だ。

昼間の(嫌)な事を忘れるため、初めて、入
ったショットバー
カウンターの隅で、強めの酒を頼み、ぐいぐ
いあおった。

嫌な事を忘れるには、とりあえず酔うしかな
い。
酔って、すべてを、まずは忘れる必要がある。
でないと・・やってられない。
生きているのが辛くなる。

ふと、気づけば、女がいた。
俺の隣に、寄り添うように。
頬笑みを、満面にたたえ、座っている。

女は、まるで昔からの、俺の恋人のよう
に自然な雰囲気で笑っている。
こんな上玉な女が、店に入ってきたら、
普通店内は多少はざわめくもの。

それがどうだ。
いたって静かなものだ。
客質がいいのだろうか。
それとも、そんなザワメキすら、気づか
ないほど俺は酔ってしまったのだろうか。

ま、そんなことはどうでもいい。
俺は、あおった酒の勢いで、気持ちも大
きくなっている。

女の手を握ろうとしたが、女は軽くかわす。
手なれたもんだ。
頃合いを見計らい、女がつぶやく

「ふふ・・あとでね・・お店出る?」

意味深な言葉だ
ぞくぞくしやがる。
誘ってるな・。
断るはずがなかろう。

女に誘われるまま、俺は店を出た。
締まった尻の、揺れ具合を目で確かめなが
ら俺は女の尻の軌跡を追った。
それ以外、何が目に入るというのだ。

気がつけば、洒落たホテルの一室にいた。
夢のような展開だ。
地に足がついていないので、頬をつねって
みた。
笑えるほど、痛い。
どうやら、夢ではなさそうだ。

インテリアの配置も、すごい。
こんな素敵なホテル、家の近所にあったとは
まさに、驚きだ。

女を抱こうとしたが、相変わらず、のらりと
かわす。
かわし際には、かならず、あの怪しい笑顔を
見せる。
思わず、腰の辺りが、ジーンとする。

そそる女とは、こんな女のことだ。

女が、暖炉にもたれながら、俺を見た。
悩ましげに、舌なめずりをした。
そんな、仕草も可愛い。
うふふん、、の心境だ。

と、、その時

「これ・・なんだかわかる?」

女が突然一本のローソクを差し出した。
いつの間に持ったのだろう。

ローソクは怪しいまたたきで、揺らめいてい
た。
炎を見ていると、なぜが、懐かしさを覚える。
よく見れば、炎は俺の呼吸に連動して、ゆら
めいている。

女が、炎を撫ぜた。

背筋に凄い快感が走る。
手品か、、これは。

小さく可愛い舌を出した女が、炎をなめた。

またまた、凄い快感。
新手のSMプレーか・・

なんでもいい。
もうたまらん。
理性は、とうの昔に吹き飛んでいる。

俺は、かまわず、女にとびかかった。

     つづく