文学と占いは相通じるものがある

小説家になることを諦めた男のつぶやきです。

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2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第九話

凛音の機械を止める事は、おそらく自分の人生に終止符をうつことだと、漠然とわかっていた私だが、なかなか機械を止める事は出来なかった。 自分が死ぬことに恐怖は何もない。 このまま凛音と会えなくなってしまうかもしれない、その未来が私を躊躇させたの…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第八話

病室のベットで、色んな機械に結ばれた凛音は、脳死だという。 医者に言わせれば脳死は死と同じだそうだ。 私が承諾さえすれば、色んな機械によって生かされている凛音は、機械を止められ、すぐ死ぬという。 脳死だから、もう生き返る望はゼロだという。 医…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第七話

凛音の為のセコンドの勉強もした。 凛音も喜んで私をリングに上げてくれるといった。 詰め込むだけ詰め込んだ知識を後ろ盾に、私の初セコンド日は、凛音の世界チャンピオン初防衛戦の日に決められた。 ラスベガスの大きな会場は満席だった。 私は、凛音以上…

えぐって あげようか

ふざけたい 甘えたい 本音を言いたいそして 君を愛したいでもできない いや、したくないのかも幼少期のこだわりが 愛を変形させると 心理学をかじった君は言う確かにそうかもしれない私が全ての愛を 先ず疑惑から始めることを 指摘したのは君だ愛など信じな…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第六話

「じゃ・・行くわよ」 そう言って私の手を引いた凛音の手がいつもより分厚い。 後ろから見る凛音の背中が、がっしりと感じられる。 あたり前だ。 今回は、凛音が女子プロレスラーの選手で私がその旦那の役回りだった。 大人気の凛音に比べ、私はうだつのあが…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第五話

「なにしてるのよ。行くわよ」 同じフレーズで、同じように私の手を引くと階段を降りる。 今度は何なんだ・・ スポーツ芸術政界映画監督・・・ 私は、すべてのジャンルで、人生を全うし、すべてのジャンルで大成功し、素敵な妻と楽しく暮らし、出来過ぎた子…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第四話 

「なにしてるのよ。行くわよ」 凛音が私の手を引き階段を降りはじめた。 デジャブ・・錯覚・・・夢・・・ おぼろげな記憶がぐるぐる回るが、掴まれた手から感じる凛音の感触が妙に生々しい。 なんなんだ・・これは。 疑問と言うより、問いかけに近いつぶやき…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第三話

病院のベットに伏せ、私は今にもこと切れようとしていた。 75歳の冬だ。 ふと、思う。胸の中で地味にくすぶっていた凛音に刺された、あれは、結局夢だったのだ。 もうすぐあの世に旅出そうとしているのに、不思議と含み笑いが消えない。 思い起こせば楽し…

妖精の正体

妖精という化け物が存在する化物だ 妖精は可憐な姿で 人心を惑わし いたぶり あざけわらう小さな魔法の棒を ひとふりするだけで なんでもできるくせにできないふりをする 可哀想 助けたい 守ってあげたい 弱い人間を そう、思わせたら勝ちだほくそ笑み妖精は…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第二話

「なにしてるのよ」 凛音の問いかけに私はただ黙ったままでいるしかなかった。 夢の中の女がいきなり目の前に立っているのだ。 思わず身構え、後ずさりさえした。 凛音は、夢の中で私を殺そうとしたのだ。 それに、記憶をどう、たぐっても、私は凛音をしらな…

【目次】 霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪

【目次】 霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第一話 霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第二話 霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第三話 霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第四話 霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流し…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第一話

人の気配がしたので振り向くと、そこには凛音(りんね)が立っていた。 私の嫁だ。 綺麗というだけでは惜しいくらいの美人だ。 後ろに手を組みジッと私を見ている。 頬笑みながら私に近づくと、いきなり後ろ手に握っていた包丁を私の腹に刺した。 不思議と痛…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳  最終章

「君とつき合う男は不幸になるからかい」「それもあるわ」 「他には」 「けだるいのよ。愛だの、恋だの、そんな甘いたわごと」 「ずいぶんせつない事を言うんだな」 「それが・・私」 「心にもないことを」 「夢だったの・・これは」「夢なんかじゃないさ・…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 ー10

「私は、そういうめんどくさい人間なんだ」「抱きあって・・それでいいじゃない」 「君の瞳はそう言ってない」「私の瞳が?」 「君の瞳も悔いている。」「私は何も悔いてはいないは」 「私たちは、どうやら、出会う扉を間違えて開けてし まったみたいだ」「…

いやあ、参りました、ダウンしちゃいました

嫁が検査で病院に行ったとメールが来たので 慌てて会社を早退して行ったら まあ、自律神経の影響でしょうと事なきを 得て、一安心。 で、その二日後、今度は私が嫁と同じ症状 しかも、それのひどいやつ(笑) 食べたら即下痢、関節はあちこち痛み、腰の痛み…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-9

「わかった事がある」「なにが?」 「君が・・いや、私の心がなぜこうも、ささくれ だってるかが」 「・・・」 「苛立ってる原因がさ」 「私は何も苛立ってはいないわ」 「じゃあ、怒っているかだ」 「怒ってもないわ」 「私は怒ってる」 シャワーの元栓を止…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-8

湯気が立ち昇っていない。沙希は水のシャワーを浴びているのだ。 「なぜ、水なんだ」 「夢を流すには、水が最適なの」 「夢が流れきる前に、もう一度君を抱きたい」 「・・」 「君をもう一度抱きたいんだ」「無理・・」 「どうしてだい」 私は無理やり沙希を…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-7

「信じないでしょうけど、こんな事初めてよ」「こんなこと?」 「酒場で知り合った男と、ホテルでこんなこと する事よ」 沙希の唇が私に、軽く触れた。 そのまま、強い口づけをしようとしたが、いやいやをするように顔を離すと ニコリと笑った。 「帰らなき…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-6

「あのね。いいこと教えてあげましょうか」 「いいこと?」 「そう。素敵に縁起のいいことよ」 「ビーナスの話かい」 「残念。悪魔の話」 「宇宙の次は悪魔かい」 「ふふ・・あたしに関あり会う男は、みんな不幸に なるのよ」 「で・・?」 「だからあたしは…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 -5

「あたしのこと・・すき」 「どうして」 「聞いちゃ いけなかった」 「好きさ。好きでなきゃ・・こんな事しないだろ」 私は沙希を抱きしめようとしたが、そのままスルリとすり抜けると私の背後に回った。 私にまきついた沙希の腕は、金属のライターのように…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 -4

「さき・・さき だったよな確か」「やっと思い出した、、て顔ね」 「ふくだ さき だったよね」 「ふくだ さき さんでしょ」 そう言うと、また、コロコロと笑う。どう考えても、感性は私より年上だ。 居酒屋で偶然隣合った女だ。 真っ白なスーツに身を包んだ…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-3

思いついたように煙草を吸おうと手に取ったが、そのまま下に落としてしまった。 「あんた、いい人ね」 「・・・」 そう笑うと、女は、ベットの隅に投げ捨ててあったバスタオルを掻き寄せると、器用に胸にまいた。 「目の保養はこのくらいの時間が丁度なの」 …

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿るー2

「何考えてたの」「ん・・」 「あたしが寝てるふりしてた時」「寝てなかったのか」 「怖い顔してたから、寝たふりしてたの」「怖い顔なんかしてないさ」 「じゃ、面白い顔に訂正してあげる」「おもしろいことを言う人だ」 「ねぇ・・私の名前覚えてないんで…

(目次) ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 

(目次) ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 -1 ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 ー2 ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 -3 ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 -4 ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 -1

女を抱いた後の寂寥感は空しい。 白けた暗闇の水たまりが、心のあちこちにできあがるからだ。やがてその水たまりが、一つの塊になって、一気に私の心を(ストン)と異次元に放り投げる。 そこでどうなる。 白けたまま、煙草をふかし、動揺を見透かされないよ…