文学と占いは相通じるものがある

小説家になることを諦めた男のつぶやきです。

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2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 最終章

「そしてね・・拓也さんが元気だと知った凛音 は、それでもう、すっかり安心したのか、私 にね・・私を・・こう・・じっと見てね・・ 弱弱しいけれど、微笑んでね、そして・・一 言だけいってくれたの ・・言ってくれたのよ 凛音は。 ・・・ありがとう・・て…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十九話

「拓也が私の中に降りて来て、そこで私は初め てわかったの。私も辛いけど、立花さんも辛 い。拓也も無念だろうが、凛音さんだっても っと辛かったに違いないって」 立花は、まっすぐ私を見つめていた。手には、真っ白なハンカチを握り締めて。 「もし、ここ…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十八話

凛音は、拓也と同じく社会人一年生。 状況も拓也と同じく、あの刺されたマンションで新しい人生の第一歩を踏み出すはずだった。 おそらく拓也と同じように、未来に夢を抱きながら、玄関を開けたに違いない。 そこでいきなり男に腹を刺されたのだ。 凛音と刺…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十七話

「思いこみなんかじゃないのよ」 まっすぐ、立花の目を見ながら私は力強く言い切った。 「実は、私も半信半疑だったの。拓也が私の中 に来るなんて、思いこみも激しい・・て、思 ってたけど、さっき立花さんから、御嬢さん のお名前聞いて愕然としたの。だっ…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十六話

私が死のうと思っていたのに嘘偽りない。 拓也のいない人生なんて、私には考えられなかった。 私が思い描く楽しい未来の姿図には、拓也は必要不可欠な存在だった。 拓也のいない未来に、私の未来もない。 拓也の脳死を受け入れられなかったのは、自分の死の…

映画 コードネーム U.N.C.L.E. 見てきました。感想です

まずはあらすじから。 時代背景は東西冷戦真っただ中の1960年代前半。ナチスの残党が強大な国際犯罪組織と手を組み、核兵器とその技術拡散によって世界の勢力バランスを揺るがそうとするテロ計画を企んでいた。 そんな中、CIAで最も有能な男といわれるナポレ…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十五話

指定した橋の中ほどに、立花は小さく立っていた。 紺のスーツに身を包み、横に並べば、私より頭一つは大きい立花は、とても小さく見えた。 小さくさせたのは私だ・後悔の念が風と共に私をピシリと打つ 蒼ざめた表情は、まるで能面のようだ。 生きた証が見受…

007スカイフォール 見てきました。感想書いちゃいます

まずは解説かから 少年時代を過ごした"スカイフォール"で焼け残った写真を受け取ったジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、その写真に隠された謎を解明するため、M(レイフ・ファインズ)の制止を振り切り単独でメキシコシティ、そしてローマへと赴く。 …

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十四話

握った携帯の向こうから力ない女の声が響いた。 私が自分の名を名乗ると、口調が変わった。 最初に出た、気だるそうな口調から一変し、ハキハキとした、娘を女一人で育て上げた、気丈夫な女の声に戻った。 偽りだ。演技をしている。この母親は。 悲しみと怒…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十三話

病室のテーブルに置かれたままになっていた一枚の名刺。 私は思い切ってそこに電話をかけた。 土下座までして許しを請うた、拓也が命まで賭けて助けようとした、女性の母だ。 女手一つで育て上げた最愛の娘が、ストーカーの一突きで命を落とした。 その心情…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十二話

突然の私の言葉に、医師は呆然と立ちすくんでいた。 いや、驚いたのは言った私もだ。 そんなことを言うつもりは毛頭なかったのに、気がつけば、気持ちとはまったく違う事を言い切っていた。 漠然と感じるのは、脳の奥底で、誰かが私を操っている・・ 「拓也…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十一話

背後にお医者さんの気配を感じたが、私は無視した。 どうせ、言う事はわかっている。 息子は脳死だ。このまま機械で生きながらさせていても、生き返りはしない。 拓也は、ドナー提供を承諾している。息子さんの身体を譲ってくれと・・・ 勿論、露骨にそんな…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十話

息子の名は拓也。まだ23歳だ。 大学を卒業し、本社で研修の後、初めて赴任先の会社に行くその朝、災難は襲った。 災難と言っていいのか?私にすれば災難以外のなにものでもないが、拓也にすれば自らの意思といえない事もない。 一人暮らしを始め、初めての…

水車のお話し

僕の故郷はあの水車の横 ほら水が回っているだろ水苔がへばりついて 今にも止まりそうなあの水車 でもまだ一度も止まったことがないんだよ村の人に聞くと水車の神様が 目を光らせてみはっているんだとか僕はね 僕って言ってるけど 実は女なんだ で、ね。 と…