文学と占いは相通じるものがある

小説家になることを諦めた男のつぶやきです。

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マルドゥックースクランブル 圧縮を読んで

嫌いだ、苦しい、嫌だ、読みたくない
正直何度思った事か。
世界観は良い。文章の練りも、スピードも
語彙の豊富さも、何もかもが一級品だ。
しかし正直読んでて(反吐)が出る。

署名な読書家が生涯ベストおすすめ本100冊の
中に入れた本だ。反吐を出すだけで選んだわけ
ではあるまい。私とて読書家であり、いっぱし
の批評家でもあると自負している。
どこかにキラリ光るダイヤが隠れているはずだ。
鉱脈を見つけずして読むのを投げ出すわけには
いかない。

15歳の幼女を売春婦にし、父親に強姦され、兄は
刑務所、母親は薬漬け、挙句に幼女は娼婦に売ら
れ、とどめは焼き殺される憂き目にあう。
こんな出だしの小説読めたもんじゃない。

このキャラ設定に合理性はあるのか?
あるわけなかろう、とまずは作者に怒りを覚える。
この(ロリコン作家め)と。
出てくる奴出てくる奴、最低な奴らばかりだ。
読んでいて潜在的な怒りがどんどん増幅してくる。

そして批評家の目がやがて作者の暗黒の核を
見つける。これは・・これは・・そうか、怒りを
わざと読者に持たせてるのだ。
怒りを持たせ、その怒りを増幅させ、洗脳状態にする・

おいおいこれは卑怯だ。邪道だ、こんな手法あかんだ
ろうが・・するとまた怒りが湧く。
全てが作者の思うつぼだ。
思うつぼだけに余計に怒りが湧き、よけいに思う壺の
奈落に落ち込んでいく。

そしてお決まりの後半。
カタリシスの発散が始まる。

か弱き乙女は覚醒する。
万能変化を得意とするネズミの相棒と共に無敵になる。
全てはこの最後の章を盛り上げるための伏線だったのだ。
幼女の過去が悲惨であればあるほど、悪党が極悪であれば
あるほど最終章で起こす幼女の怒りの発散に読者も
同調する。

いいぞ、いいぞ、さあ殺せ、とことん殺せ、残虐の限りを
尽くしていたぶり殺せ。
目を背け、残虐であればあるほど読者のカタリシス
は高揚する。

全ては作者の思惑通り。
残虐を嫌い、反吐を出しそうだった読者が今では拳を
振り上げ殺せ殺せと叫び回っている。

善悪など関係ない。暴力の芸術性を、世の中の本音を
あぶりだしてやる。きれいごとなどいうな。一皮むけば
世の男共は、人間は、残虐なんだと。

しかし作者のお遊びはまだ止まらない。
万能になった幼女に更なる強敵を出現させる。
万能の幼女は、万能でなく、か弱き幼女となるが
最後の反撃を行い、この無敵ボスと戦うのだが敵は
あまりに強すぎ、やがて、やがて殺されそうになる

てなとこで本編は終わる。

おいおい酷いだろう。
反吐を我慢してここまで読んだのに、結末は来週にな
んて、そりゃ酷いだろう・・
これこそ、最後の禁じ手だろうが。

禁じ手
使いすぎると裏目にも出る。

果たしてこの先、読んでみようと思えるか
そこが問題だ・・・

さあ、読んで見ろ君らも
そして最後に考えてみろ・・
この先続編を、、買うか買わないかを・・・