文学と占いは相通じるものがある

小説家になることを諦めた男のつぶやきです。

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米澤穂信著 氷菓の感想です

何てことない書き出し、イヤ少し硬さがあるか
妙な言い回しも気になりあれ?外れか・・と
思いきや、イヤイヤまさかの当たり本。

読書会で紹介され、私が育った岐阜出身の作家さん
と聞き、読んでみようと思ったのが動機

面倒くさがりの高校男子と、清楚な女子高生が
ひょんなことから古書部に入部したところから
始まる、なんちゃって推理小説
凄い推理ではなしに、こじんまりとした推理だが
本題は推理だけではないからご安心。

高校時代の甘酸っぱい恋愛小説かと問われれば
それも違う。
でも甘酸っぱい雰囲気は確かにシャボン玉のように
行間を浮遊している。
いずれ弾けて恋にでも発展しそうで、でもまだ、しない、、

くぅ、、ねっ、、あの高校時代の、ほらあの感覚。
わかるでしょう。

面倒くさがりの主人公の姉からの一通の手紙が最初の
話の導入部だが、うまいんだよな、これが、すべて
を読み終えて思い返せば計算されている。

ふん、所詮死体も、暴力もない、お子様の推理劇だと
思ったら大間違いのこんこんちき。
馬鹿にしちゃいけませんよ。ちゃんとした推理と
巧みな人物描写、独特な雰囲気、折り紙つけてもいい
ほどの極太構成。

最後だって、どんでん返しも入っているし、もうてん
こ盛り。
小説を一読し、本の題名に回答があったなんてわかった
時の小憎たらしい演出。
よく考えたら、ありきたりの推理小説なのだが、何故か
惹かれる。何故なんだろう。

九話構成になっており、それぞれが一編の推理小説仕立て
にしあげ、そこで登場人物の紹介をしていくあたり小憎らしい
書き方だ。そして全体を通して一つの高校生探偵もどきの
推理小説に整えている。

おぬしやるな・・お代官様、、あれーー
そうそう、これだ。
ベタ、なんとなくベタ。
推理小説のベタの王道行ってるのに面白い。
あるいはベタだから面白いのか。
とにかく読者に親切だ。
ん?
親切な推理小説って、ひどいよなこの表現

でも面白い、というより、やめられないんだよな
読み始めると。
これって何なんだろう。

本探偵の私としては解明しなければ。

そうそう、続編が出ているらしいのですが、多分私
買っちゃうでしょうね。
この本の魅力の源を探る為、、なんて理屈こいてるけど
早い話、面白いんですよ

まあ、読んでみてください。

あ、面白いと思わない人がいたら、そりゃ
あなたが悪いんですよ。

 

濁ってるんです、こころが(笑)