文学と占いは相通じるものがある

小説家になることを諦めた男のつぶやきです。

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ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 ー10

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「私は、そういうめんどくさい人間なんだ」
「抱きあって・・それでいいじゃない」

「君の瞳はそう言ってない」
「私の瞳が?」

「君の瞳も悔いている。」
「私は何も悔いてはいないは」

「私たちは、どうやら、出会う扉を間違えて開けてし
 まったみたいだ」
「扉・・?」

「出口から入ってしまったようだ」
「何を言ってるか、よくわからないわ」

「じゃあ聞くが、この先何があると思う」
「何がって」

「このままシャワーを浴びて、服を着て、ホテルを出て
 、それでバイバイ」
「それのどこが悪いの」

「それでいいのかい。本当にそれで」
「出ましょうか」

礼子が両腕で身体を覆った。
水シャワーはさすがに冷たい。

寒いのは私だけではなかったようだ。
外は真夏。

空調がかかってるからといって、凍える寒さではない。
この寒さは水シャワーだけのせいではなさそうだ。

内側からの寒さは、強烈だ。

酔いに任せて抱き合ったベットの片端側に、私たちは
見合うように腰をおろした。

「愛だの・恋だの・そんなものは私にはもう無縁」

沙希はバスタオルで全身を覆い隠していた。

   続く

 

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