文学と占いは相通じるものがある

小説家になることを諦めた男のつぶやきです。

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たき火

あくびをしたら顎が外れた

元に戻らない

あいつの悪口を言い

ゲタゲタ笑ったその時だった

顎が外れたのは

 

お、おまえ

魔女だったのか

 

そう叫びたかったが

顎が外れていて叫べない

 

魔女ならもっと早く懲らしめてくれよ

おいらのこのひん曲がった根性を

今さら顎外したくらいで

オイラの性格が直るとでもおもっているのか

 

そうニヤケたとたん

火が付いた

わおーー

燃えてるじゃん

おいら

 

なんだお前

火も使えるんだ

めらめら燃える火の中で

オイラ暖まってやった

 

だってさあ

凍って寒かったんだもん

おいらの心

 

ああ

あったかい

軽玉

心の奥底で転がる軽玉を蹴ってみた

フワンと少し浮き上がるが

落ちる時は早い

 

軽玉、薄汚いよな

何なんだこれって

ま、でもしかたないか

俺の軽玉なんだから

 

つくづく思う

生きるってことは面白い

 

でも面白いけど苦痛だ

苦痛だけならまだしも、無関心さえ襲ってくる

生きてるのに無関心

生きてる意味無いじゃん

 

軽玉蹴って考えてみた

 

多分この軽玉が生きてる証なのかも

浮かせるのは簡単だが

浮いたままで持続させるのは難しい

しかし、落ちるのは早く簡単だ。

 

つぶしちゃえ

いっそのこと

 

腹にナイフ突き刺してみた

どす黒い血が流れてきたが

どこを探しても軽玉は見つけられない

 

なんだ

軽玉の野郎こそ

無関心野郎じゃないか

 

街に出よう

遊びたい

変化が欲しい

ドラマチックな出来事が欲しい

 

だから

街に出てみる

ぶらブラ、ぶらぶら

彷徨い歩く

あてもなく

ぶらぶらと

 

歩くことで心地よい振動が

バラバラになった

心の綺麗を整理してくれるのだ

 

歩くんだ

街を、見知らぬ人ごみの中を

 

そうだ

街に出よう

喧騒の中に浸りながら

孤独を楽しむ

なんて贅沢なんだ

 

そうだ

街に出るんだ

 

溶けたい

あくびをした

目からひとすじの涙

あれ、目の玉も一緒に落ちていくじゃん

嘘だろ

手で目をこすってみた

今度はそのあたりの肉がえぐれた

 

あはは

溶けてらオイラ

 

手をこすり合わせてみたら

その手もドロドロ溶け落ちていく

 

立ってるだけで

溶けていく自分がわかる

 

嬉しい

いいじゃん

溶けて大地と一緒になれるなんて

こんな幸せな事ないぞ

 

溶けろ溶けろ

どんどん溶けろ

 

で、お決まりの目覚め

 

ちぇっ

やっぱ夢じゃん

 

あああ

またつまらぬ現実の始まりか

 

どうしてこうも

つまらないんだろうかな

 

生きてるってことは

負け犬

また一人去っていく

職場縮小で

おはじきのように弾き飛ばされ

 

偉くなれや不満なら

偉くなって会社組織変えてみろや

もう一人の自分が言うが

できっこないよ

 

組織の歯車になるのが大嫌いなくせに

その阻止で碌をはぐくむ

ああ、情けなや

 

枕抱いて寝るしかないよな

 

だってさあ

所詮おいらは

負け犬なんだから