言霊
口を開くと言霊が跳びだす
言霊は気紛れだ
時々私とは正反対の思いを
相手に投げ掛ける
あるひたまらず言霊に聞いてみたら
どうして君はそんなに気紛れなんだと
どう答えたと思う
たった一言こう叫んだ
食べてやろうかお前も
お前 人食べているのか?
当たり前だろうが
俺様の主食は
人の善意だ
言霊ってこんな
悪いやつだったのかなあ
そう、思っていると
言霊が両の唇の端から牙出して
呟いた
知ってたくせに
お前も好きだろ
人の善意喰らうの
私は思わず後ずさった
何かに当たると
振り返ってみたら
そこには
母がいた
父と仲よく手をつないだ
母がいた
でも
父の顔は何故かボヤけて
見えなかった
言霊だ
言霊のせいだ
そう思って言霊を見ると
いつの間にか父が立っていて
がぶりと一口で
私を飲み込んでしまった