文学と占いは相通じるものがある

小説家になることを諦めた男のつぶやきです。

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ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち を読んで

冒険活劇だ。
位置付けはファンタジー。
児童文学である。1973年にカーネギー賞とガーディアン賞を
ダブル受賞した。いわゆる名作。

最初友人から薦められた時舐めていた。
所詮ファンタジー、しかも昔の、イギリスのファンタージ
じゃん。
あの鏡の国のアリス指輪物語とか、ハリーポッターとか・・
有名どころの作品が次々思いつく。

正直苦手だ。
映画で見るには面白いが小説を読むのは結構辛い。
特にイギリス文学は。
いたづらに説明が長い。
冗長で、本題に入るに時間がかかる。
この導入の仕方が好きな読者もいるが、私は苦手だ。

本を買ってみてその分厚さにまず、驚いた。
児童書だろうが、なんだよ、この分厚さは。
読む気力がこの段階で萎えた。
しかし、薦められた手前多少は読まないとまずい。
しかたなくページを広げる。

で読み始めたわけだが、おいおい、これが児童小説か!
呟きは、批判だ。
まさに典型的なイギリス小説の出だし。
重苦しく、陰惨な世界観がジワート広がる。
勿論そんな小説じゃないのだが、先入観とは怖いものだ。

結局本を閉じ、しばし読むのを止める事にした。
辛い思いまでして本は読むものじゃない。
これはもう、私のポリシーだ。

ポリシーと人間関係は時として衝突する。
本を薦められた人と会う日ができた。
流石に知らんふりはできない。本についての会合
だから。

で、再び読み始めたわけなのだが・・・

最初の(イヤイヤ)山場を過ぎると思わずページを
急いでめくる自分がいた。
面白い、嘘だろ、超面白いじゃん。
これって、児童文学か?嘘だろう、大人への啓蒙書だろうが。

生きる事、食べる事、生殖すること
この三点に特化して、兎を主人公に社会学の勉強が
始まる。

この村は危ない、逃げなければ
霊感がある弟兎のお告げで物語は始まる。

まずは危ないことを兎の長に伝える。勿論そんなこと誰も
信じやしない。
弟の霊感を信じる兄は仲間を引き連れ村を脱出する計画を
立てる。
裏切り者は抹殺される。兎世界の掟だ。

まずは自分の村からの脱出劇
やがて新しい住処を見つけるために兎たちは飛び出す

試練、シレン、また試練

色んなトラブルに見舞われるたび、兎たちは何とか
困難をすり抜けていく。
当然仲間意識は強まっていく

やっと見つけた永住の地。
冒険は終わりかと思われたその時、リーダーは悟る
このままではいけない。
メスがいない。このままじゃ新しい村は発展しない
逃げ出した仲間はオスばかりなのだ。

新たな冒険の始まり、それはメスの仲間を見つける事

近くに大きな村を見つけた。
そこで新しいメスと出会えばいいのだ。
しかしその村は絶対的専制君主の将軍が収める村。
素直にメス兎との交流を許すはずがない。

奇策を使い何とかメス兎を連れ出し巣に戻った兎たちに
最後の試練が襲う。
兎を奪われた将軍が黙っているはずがない。

ものすごい大群で村は囲まれてしまった。
オスは殺され、メスは連れ戻されるのは確実。
戦っても無勢に多勢。戦力が違いすぎる
絶対絶命、助かる術は、皆が散りじりバラバラ、
逃げるしかない。
さあ、どうする

さあ、どうなる

凄いでしょ。
冒険活劇の要素が全て、ちりばめられています。
後半になればなるほど、読むことを止められません。
先が気になり、どうしようもなくなるのです

ワクワク、ドキドキの連続です。
登場人物ならぬ兎が多いので、読者は次第に
贔屓の登場兎を見つけていきます。

仲間意識はいつしか、読者まで巻き込んでしまいます。
御贔屓の登場人物は最後まで生き残る事ができる
のでしょか。
最後はハッピーエンドで終わるのでしょうか。

それは言えません
読んでみてください

お勧めです
読んで損が無いなどとは、とんでもない
読んでよかったとしか言えないはずです。

最初だけです
最初だけ、ほんの数ページ、我慢して読み進めば
その先には感動の女神が両手を広げて待っています。

後は、飛び込むだけです