fuuraの小部屋

小説や本について寡黙に妄想。小説家になろうのサイトで人気を得る研究。小説家になるにはどうしたらいいかを研究。でも結局は、まずは小説と詩を書こう 。

受け月 伊集院静著  感想です

名前がいいですよね 伊集院静なんて。
思わず色んな事妄想しちゃいますもんね。
名前だけで。

勿論ペンネーム。
作詞家としての筆名は伊達 歩(だて あゆみ)
やはり伊集院静の方がいいよな。
本名は西山 忠来(にしやま ただき)
韓国籍で、日本に帰化前の氏名は、
チョ・チュンレ

どちらにしても、伊集院静
ホントいいペンネームです。

で・・・
私、唐突ですが夏目雅子さんが大好きでした。
底抜けに明るくまばゆい瞳。まさに青春その
もの、はち切れんばかりの若さオーラをかも
しだしていました。

その夏目雅子さんが愛した男、それが伊集院静
なのです。しかも不倫、略奪愛までして。

だから、私は伊集院静が大嫌いです。
彼の小説は生涯読むまいと心に誓いました。
嫉妬、、ええ、嫉妬です。

人間は嫉妬により大きく成長するとどこぞの哲
学者が吠えていましたが、私は残念なことに、
こじんまりとまとまり、世間に同化し生きてい
ます。
そんなことは、いいのですが、私は嫉妬の権化
となり、伊集院静を嫌いました。伊集院と名の
つくもの、あのタレントの伊集院光さんまで嫌
う有様。

ですから夏目雅子さんが病魔に襲われ、病と闘い
惜しくも夭折した時は、さらに伊集院静を憎みま
した。
お前のせいだ!と。
勿論濡れ衣ですが・・・

その伊集院静が再婚しました。
今度は女優の篠ひろ子と。三度目の結婚です。
いよいよ伊集院静が嫌いになりました。
憎むことが私の夏目雅子さんい対する愛の証とばか
りに。

話はガラリ変わり・・・

会社の女子会で財布係として強制連行された私は
両手ならぬハーレム状態の中で一人寂しく、ウー
ロン茶を飲んでいたらいきなり尋ねられたのです。

「伊集院シズカって良いわよね」と。

社内一の美人の誉高いM女子から。
社内一の美人から、唐突に、良いわよねと尋
ねられ否定できる男がいたら、連れてきてほ
しい。
いるはずがない。
押し並べて、男という生き物は美人には、否、
女の考えには無条件で同意してしまう生物なの
だから。

勿論私も反射的に「うん、良い作家だ」と頷い
てしまった。
夏目雅子の顔を思い浮かべながら
伊集院静だって再婚したじゃないか
俺を恨むなら、まず伊集院静を恨め・・・
など、など。

とにかくその時から、私は伊集院静が好きに
なった。
好きにさせられた。
しかし彼の作品は一作も読んだことが無い。
社内一の美人からいつ聞かれるやもしれない

伊集院静の本、何読んだのかと。
慌てて呼んだのがこの受け月
随分前置きが長くなってしまった。

誓った夏目雅子と、神様には申し訳ないが、男
の信念とは、かくも美人の前では脆いものだと、
諦めてもらい・・・。

受け月は御存じ、伊集院静直木賞を受賞した
作品だ。7作の短編集が集まり一冊の本になっ
ている。

テーマーを野球に絞り、野球に関した短編を
並べている。受け月はその中の最後の一編、
頑固な老監督の引退にまつわる話だ。

受け月とは、「受け月に祈ると皿に水が溜まるよ
うに願いが叶う」という話が有名らしい。

なんともまあ、女性が喜びそうな文言じゃない
ですか。

短編全編に流れるのが男の哀愁。
話に凹凸はなく、ただひたすら人生の無情、男の
頑固さの哀愁を淡々と語っている。
言い方を変えれば退屈。

なるほど、これが伊集院静の世界か。
男のロマン
頑なに守るべき信念、その信念の為には人生
そのものが破滅しても潔しとする
男じゃん。

野球に固執した男達の人生の哀愁を9編にそれ
ぞれ盛り込み、頑なゆえに不器用な男の世界を
しつこくではなく、あまりにあっさり、淡々と
書き綴っている。
そのあっさり感があまりに手際よく、それが
この作家の持ち味かも。

主題が見えにくいのは、人生の一コマを切れ味よく
切り取り、その断片を伊集院静という作家の生き様に
盛り付け、さあ食べろといわんばかりの力技。
そう、力沢なのだ。
力技故に隠し方が時折ちらつく。

裏読みすれば鼻につく。
素直に読めば退屈。
しかし、心に霧がかかっていれば、その霧を晴ら
すのでなく、色を付けてくれる。
そう、伊集院静の作品は、無常という人生の究極
の諦観に、色を付けようとしているのだ。

作家の視点ではない。
プロデューサーの視点だ。

力技を底辺に隠しつつ、あまりに淡々と語るその悲哀
感が、よけいに(ある一部の読者)の感性をくすぐる
のだろう。

なるほど、これでは夏目雅子も、篠ひろ子も惚れる
はずだ。

男のダンディズムを淡々と、強制もせず、ただひたす
ら書き綴る。
俺の背中を見ろ、嫌なら来るな、選ぶのはお前だ
お前が好きにすればいい、俺は俺の人生を、好き勝手
に生きさせてもらう。
俺に近づくな
俺に近づけば・・
タダではすまないぞ・・・


ちくしょう
恰好良すぎる
女が惚れるはずだ
くそーー
超うらやましいじゃん・・