fuuraの小部屋

小説や本について寡黙に妄想。小説家になろうのサイトで人気を得る研究。小説家になるにはどうしたらいいかを研究。でも結局は、まずは小説と詩を書こう 。

小説 面倒くさい女 (一話完結)

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同棲して5年。
そろそろ倦怠期か・・

かれはソファーに寝そべり野球を見ている。

昔は、私も彼の好きな球団が勝てば、小躍りして
喜んでいたものだ。

だって、彼のひいきチームが勝てば、彼の機嫌が
良くなる。

よくなれば、私にも「機嫌」のおこぼれが降り注ぐ。

楽しいじゃないか。

勝った晩は、決まってエッチした。
おこぼれの、最たる成果だ。

そういえば・・いつからか、このおこぼれもなく
なってきた。

いつからだろうと・・と
彼の横顔を見てみると、薄目を開けたまま寝てい
た。

昔は、そんな彼を可愛いと思い、毛布をかけ、頬
に「チュウ」などしたこともあった。

5つも年下だ。
子供のように可愛かった。

今は面倒くささが先に立ち、毛布などかける気に
もならない。


私の気配に気づいたのが、彼が目覚めたようだ。

昔から、眠りは浅い子だった。

そんな神経質な気性も、愛してるの範疇に入って
いたのだろうが、最近は鬱陶しいことが多い。

男なら、多少の物音なんぞに動じることなく大い
びきかいて寝ているのが「器」ちゅうもんだろう
と・・
思ってしまう自分が情けない。

愛の物差しが歪んでしまったのだろうか。

本当は男のいびきなど大嫌いな私だというのに。

大きく欠伸をして、私を見つめる彼。

そんな涙目の彼に、ふと、昔の可愛さを思い出した。

まだ愛の残り香はあるようだ。

読んでいた女性誌の特集が「好き」だったので、
何気に、彼に聞いてみた。

「ねえ・・好きってどういう意味」
「はあん?」


しまった・・
つまらん事をきいてしまった。

そうは、思ったのだが、言ってしまったからには
後には引けない。

「好きの意味」

「なんじゃ・・それ」

「だから・・好きってどういう意味か聞いてる
 の」

答えなど期待していなかったのに

「抱きしめたい気持ちってことじゃないか」

と、珍しく、まともな答えを返してきた。

「なるほど。触れあいたくなるわけだ・・で他
 には」

おもしろいので、もうひとつ深くつっこんでみた。

「うーーん。自分の中に入ってくるのを許すこ
 とかな」

「なあに・・それ。アナルセックスをしてもい
 いってこと」

と冗談で返したら

「馬鹿野郎・・精神的なことだ」

と露骨に嫌な顔をした。

そういえば、この子、下の話は嫌いだったんだ・・

「俺の心の中に、入り込んでくるっ・・て意味」

「私、入っていくでしょ?」

「お前は、遠慮なく入りすぎだ」

「あら・・そう」

「お前は、どう思うんだ」

「なにが?」

「好きの意味さ」

彼の顔をまじまじと見た。

思ってもない言葉だ。
質問は、いつも私。
彼は答えるのみ。

私の答えなど、いつも気にしたことないくせに。
それが、問い返してきた。

珍しい。

「知りたい?」

「お前から聞いてきたんだろ」

「うん・・そうねえ・・」

と少しもったいをつけて

「いるとうれしくて、いないと欲しいとおもうこと」

「あいかわらず、理屈こねて」

そういってまた、テレビの方を見た。

おりしも、ひいきチームの誰かがホームランを打った
ようだ。

考えているのだろうか・・
私の言った事。

きっと考えているに違いない。
いや・・考えていて欲しい・・

「いるとうれしくて、いないと欲しいとおもうこと」

言われたとおり、理屈言いだ。

素直じゃない私。

いつも、すねた考え方をする。
生き様だからししかたがない。

一つの事を、違う角度から見るのが好きだ。

多分信じていないのだろう。
他人を・・社会を・・いや、自分自身も。

「お前も普通の女の子のように、感情で動いてみろ」

とよく彼に言われた。

どうやら、私は「普通の女」とは思われてないらしい。

ま・・その通りには違いないのだが・・

にしてもだ・・

どう思ってるんだ・・私の事を。

もう5年だぞ、つき合って。

どうしたいんだ、私の事を。

どうでもいいけど・・気にはなる。
気にはなるけど、聞くのは癪だ。
だいいち、私自身がどうしたいか、さっぱりわからない。

私がわからないのに、彼に聞いたところで、何だというの
だ。

それにしてもだ・・

男に「好きってどういう意味・・」て聞くなんて

本当に・・まったく・・

私は面倒くさい女になったものだ。

昔から、面倒くさい女は大嫌いだったはずなのに。

ああ・・嫌だ嫌だ。

彼が大きな伸びを、また、した。

ええい・・
キスでもしてやろうかしら。

ビックリするぞ、あいつ。

 

   終わり

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