読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

fuuraの小部屋

小説や本について寡黙に妄想。小説家になろうのサイトで人気を得る研究。小説家になるにはどうしたらいいかを研究。でも結局は、まずは小説と詩を書こう 。

小説 浮気騒動顛末記 11

小説

f:id:fuura0925:20151228111825j:plain

翌日私は、少し早めに会社を出た。

阪神百貨店の地下でイカ焼きを買うためだ。
優子さんはイカ焼きが大好きだ。
よく、津川が土産で買っていたのを思い出
したのだ。

50人ほどの列が出来ていたが、我慢して並ん
だ。本来はこんなこと大嫌いなのだが、さすが
に今日はしかたがない。

優子さんの家にまさか手ぶらではいけない。か
といって何を買っていけばいいのか思いもつか
ない。

そこで
このイカ焼きを思いついたのだが・・実際に買
ってみて思った。

並ぶのは疲れる。
それをあの津川はやっていたんだ。
こうやって。

この、こまめさが、やはり女にもてる秘訣なの
かもしれない。
私なんぞ、ここまでして、もてたいとは思わな
い。やろうとも思わない。
結局、この差なんだろう。

マメになれば、女性にもてやすくなるとは、わ
かっていても、そうそう出来るものではない。
出来る出来ないは、やはり、性格的な要素が大
きく関係する。

女性に、もてたいために、にわか仕込みでやっ
たところで、その化けの皮はすぐ剥がれる。
そんなことを、考えれば、やはり、マメさとは
あるいみ、性格の本質をついている。

まめな男性は優しい・・やはり本質を突いている
と思う。

津川が「金」の力で女にもててるいうのは結局、
私のひがみ根性から出た思い。

実際、あの津川の、まめさには感心する。
どんな結果にも、やはり、原因というものある
ものだ。
もてて当然なのかもしれない。

きっかり二十時に優子さんの家を訪ねた。
部屋に入るなり

「あ・・イカ焼き。わざわざ買ってきてくれた
 の」

と大喜びだ。
匂いでわかるらしい。
確かに、ソースの匂いがすごい。

電車に乗るのがはばかられ、ついタクシーに乗
ってしまった。

それでも、嬉しそうな優子さんの笑顔を見ると、
ついこちらの口元も緩む。

買ってきてよかった・・・
照れることはなはだしい。尻がこそばゆい。
訪問の目的を一瞬忘れてしまったほどだ。

「お酒にしようと思ったけど、やっぱコーヒー
 にしたんだけど・・」

「すみません」

「でも・イカ焼き食べるなら、コーヒーは合わ
 ないわね」

「いえ・・僕は」

「何言ってるのよ。私が一人でこんなに食べら
 れるわけないでしょ」

せっかく並んで買ったのだ。
思い切って10枚買ったのだが、確かに多過ぎ
たのかもしれない。

「はい」

コーヒと入れ替えて熱いお茶を私の前に差し出
す優子さん。

私の正面に座った。
四人掛けの応接セットだ。
目の前の優子さんは、眩しすぎる。

「上着ぬいでいいですか」

「いいわよ」

上着を脱いで、それを座ってた椅子の背に掛け
その横のイスに座りなおした。

熱いお茶をすすり、買ってきたイカ焼きを食べ
ながら優子さんを見た。
美味しそうに、イカ焼きをほうばっている。

「で、奥さんはなんと言ってるの」

イカ焼きを口に含みながら、さらりと聞いてきた。
直球勝負だ。
いつもの優子さんだ。

こちらが話しやすいよう、ちゃんと話を誘導して
くれる。

これなら、案外すんなりと話せるに違いない。
そう思うと、急に心が軽くなった。

もう1枚、イカ焼きをほうばった。
意外にうまい。

優子さんも2枚目を食べている。

                つづく

 

←戻る  進む→

広告を非表示にする