fuuraの小部屋

小説や本について寡黙に妄想。小説家になろうのサイトで人気を得る研究。小説家になるにはどうしたらいいかを研究。でも結局は、まずは小説と詩を書こう 。

小説 浮気騒動顛末記 9

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「ずいぶん言われちゃった」

多江さんは、それでも笑っている。
覚悟を決めた女は強い。男の決断力など足元に
も及ばない。

どうしたものかと思っていた時、思わぬ援軍が
現れた。

「ママ、私もおっちゃんの言ってることある意
 味核心を突いてると思うの」

おっちゃん・・ある意味核心・・言うじゃない
か、この小娘も。

子供は、どんどん大きくなっていく。
親の能力がそれに追いついていかないと、いず
れは子供に抜かされる。

いつまでも子供子供と思っていたら、自分が子
供から、子供扱いされている。

そんな事になって、たまるか・・。
俺は絶対、ならんぞ・・・。

「パパ、ママが仕事のお話、おじいっちゃん達
 としてる時、ホント、寂しい顔しているわよ。
 どうして、パパを仕事の仲間に入れてあげな
 いの」

娘にまで同情されてりゃ、世話はない。どうし
ようもない馬鹿友人だ。

「おじいちゃんが嫌がるから、しょうがないじ
 ゃないの」

「じゃあ、社長になんかしないで、別の仕事さ
 せてあげればいいじゃないの」

いいことを言うじゃないか、この娘。
本当にいい娘だ。

会社の仕事が、任せられんのだったら、他に何
事業でも立ち上げさせろと言うんだ。
それぐらいの金はあるだろうに・・・

飼い殺しはいかん、飼い殺しは。最悪だ。

「それに、もし本当に離婚するなら、あたしパ
 パ側につくから」

私は思わず加奈を見返した。
冗談かと思ったが目が本気だ。
ある意味、加奈も怒っている。

今日は、サプライズが多すぎる。
浮気してる男親についていくというのか。
なに考えてんだ・・この娘は
ホンマかいな。

「そりゃ、浮気は嫌だけど、おっちゃんの言う
 とおりママにも非がある。離婚して、パパ家
 から追い出したら誰がパパの面倒みてあげる
 のよ。
 だから、もし、そんなことになったら、あた
 しがパパの面倒見てあげるから」

驚いたのは私だけではなかった。
多江も驚いたらしい。

当然自分についてくるとばかり思っていたのだろ
う。娘をしげしげ、見返している。

「加奈ちゃん・・本気?」

「私は本気よ」

「まだ学生のあなたが、どうして養うっていうの
 よ」

「そんなこと、ママには関係ないでしょ」

馬鹿友人の娘だが、我がことのように嬉しい。

私の娘も、はたしてそう言ってくれるだろうか。
まず、無理だ。
しかし、加奈は、あの馬鹿津川がいいという。

何なんだ・・どんな育て方をしたら、こんな嬉
しい科白を言ってくれるんだ。

「いいわ。その話は後にしましょ。とにかくまず
 女と別れさせて。離婚の話はその後でも出来る
 し。」

「おっちゃんいいでしょ。ね、頼まれてあげて、
 父さんは私が養ってあげるから」

「・・・」

無言の私に、多江がたたみかける。

「会ったことあるんでしょ。あなた、その女
 と」

「・・・」

「とにかく、話しまとめてきて。どうせあの人に
 は別れ話なんか絶対切り出せないんだから」

確かにそうかもしれない。
あれだけ別れろと言ったのに、今日もそんな話を
した様子もない。
どうせ、また、いつものようにウジウジしてるだ
けに違いない。

だいいち、優子さん前にして、あの男が「別れてく
れ・・」なんて姿、はなっから想像すらできない。

言えるわけなかろう。
あの優柔不断男に。

悔しいけれど、この、多江さんの言う通りだ。

ほっといたら、このままずるずる行くがおちだ。
好むと、好まざるとに関わらず、ここまで深入り
したら、知らぬが半兵衛決め込むのも無責任だ。

やるしかなかろう・・

「一週間まってください。私にも仕事があります
 。急には無理です。一週間あれば、なんとか、
 相手の女性と話をしてみる時間が作れると思い
 ます。
 どうなるかは、責任もてませんが、とにかく話
 をするだけはしてみます。それでいいなら、や
 ってはみますが」

「それでいいです7。お願いします」

「とりあえずこの紙は持ち帰ってください」

薄っぺらい離婚用紙を、多江さんに渡すと、多江
は、それをクシャッとまるめ、そのままバックの
中に放りこんだ。

離婚は、本気じゃなかったのか。

気が重い。とにかく重い。
何で俺がこんな事に・・・
まあ・確かに、おいしい目には少しはあった。
それでも、そんなの・・・

まあいい。愚痴を言っても始まらない。
知るか・・どうなっても・・とにかく会って話を
するしかないだろう・・・

それにしても胸が痛むな。
まさか優子さんと、こんな話をしなければならな
くなるなんて、つい1週間前までは思いもしなか
った。

でも、よく考えたら、俺達はずいぶん不道徳な事
をしていたのだ。

俺に直接的な関係が、なかったにしろ、その仲間
でワイワイ楽しくやってたのだから・・これは、
あの馬鹿友人が言うように、同罪かも。
いや、、同罪だ。

責任とらんといかんのだろうな・・やっぱ。

ふーーー

深いため息は、コーヒーの香りがした。
気がつけば、4杯目を飲んでいた。

あちゃ、、コーヒーも一日2杯迄と決めていたの
に・・・

うまくいかんな・・世の中は。

           つづく

 

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