文学と占いは相通じるものがある

小説家になることを諦めた男のつぶやきです。

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ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 -5

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「あたしのこと・・すき」

「どうして」

「聞いちゃ いけなかった」

「好きさ。好きでなきゃ・・こんな事しないだろ」

 

私は沙希を抱きしめようとしたが、そのままスルリ
とすり抜けると私の背後に回った。

私にまきついた沙希の腕は、金属のライターのよう
に冷えている。

「男は、好きでもない女と愛し合えるというじゃない」

「人によりけりだ」

「あなたは、どっちなの」

沙希の身体からバスタオルが滑り落ちた。


「嘘つきね。好きだなんて。知りあってまだ、一日も
 経ってないのよ。あたし達」

「好きになるのに時間の長さは関係ないさ」

「欲望を満たすだけの愛にも時間はいらないわ」

「欲望を満たすだけの関係に愛は不要さ」

「じゃあ、今、ここに愛は無いわけだ」

「手厳しい人だ」

 

苦笑した私の背後で、裸のまま沙希が揺れている。

笑っているのだろう。


「くっくっ」と忍び笑いするたびに背中越しに
沙希の乳首が触れる感触が伝わってくる。

 

ふと昔の女の記憶が脳裏をよぎった。

同じように形良い乳房をもった女だ。
悲しい別れの記憶も、瞬時だが、流れて消えた。

今さら・・どうして、あの女の事など・・・。

 

「あんた、、女のこと考えたでしょう」


後ろに向けた耳元に、沙希の顔があった。
耳に口をつけながら囁くように言う。


カンの鋭い女だ。
何かを感じたのだろうか。
沙希は。

    続く

 

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