文学と占いは相通じるものがある

小説家になることを諦めた男のつぶやきです。

ca-pub-9247012416315181

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 -4

f:id:fuura0925:20151101141938j:plain

「さき・・さき だったよな確か」
「やっと思い出した、、て顔ね」

「ふくだ さき だったよね」

「ふくだ さき さんでしょ」

そう言うと、また、コロコロと笑う。
どう考えても、感性は私より年上だ。

 

居酒屋で偶然隣合った女だ。

真っ白なスーツに身を包んだ、清楚な感じの女だった。
私が一番苦手としている、タイプの女だ。

それが今、こうして私の前に、裸で座っている。

冗談にしても、笑えない。

何があってこうなったのか、覚えてもいない。
ここまで酔ったことなど、勿論初めてだった。


「宇宙であたしはなんだったの。宇宙船?それとも怪獣」

「勿論、ビーナスさ」

「裸で飛んでたりして」

「いや、服は着てたさ」

「あはは、面白い人ねえ。あっそうだ、ねえ宇宙って言え
 ばさ宇宙の果てっ一体どうなってるの」

「・・・」


女は長い髪を頭の上で巻き上げると、手首にあった輪ゴム
で髪を留めた。

コケットな女から、知的な女に変化した。
一つ一つの動作で雰囲気がすごく変わる女だ。
その目力の強さが、私をうろたえさせた。

 

「あなた、考えたこと無いの。宇宙の果てってどうなって
 るかって」

「う、、ん昔。小学生の頃に」

「何よそれ、まるであたしが、小学生レベルの知能ってみ
 たいじゃない。・・まいいか。さきはね、、沙希って書く
 の」


沙希が私の手を強引に取ると、手のひらに人差し指で(沙希)
と書いて見せた。

こそばゆい感じと、懐かしい感じが入り混じり、手のひらの
中心から私の股間に衝撃が走った。

「あはは、こうされたら感じるんだって。感じたでしょう」

沙希が私に覆いかぶさった。
耳元で私に呟く。

顔にまとわりつく沙希の髪が、心地よい。

    続く

 

←戻る  進む→