文学と占いは相通じるものがある

小説家になることを諦めた男のつぶやきです。

ca-pub-9247012416315181

小説家になりたい人が過去の芥川受賞者を調べて嘆くお話

f:id:fuura0925:20151030011335j:plain

 

さて私達小説家の卵は果たして職業作家になる
ことができるだろうか。

継続は力なりと言われるが、果たしてこの諺が
実を結ぶためには私達は幾万年生きなければな
らないのだろうか。

まずは作家の登竜門の代表と言えば芥川賞だ。
2000年代に受賞した作家さんを列記してみた。

純文学、私小説が勢いを無くし、小説と言えば
軽いタッチの恋愛小説が主流になってきた昨今
芥川賞を取ったからと言って、それで作家とし
て飯を食える保証を得たわけではない。

むしろ(怪しげな小説)を書けない足枷をはめ
られただけなのかもしれないが、それでも小説
家としては、華々しいデビューとなる。

 

 

注(○)の○は芥川賞候補作品に入った回数を
 表す
2000年代の芥川受賞作家

第123回(2000年上半期)
町田康 「きれぎれ」(『文學界』2000年5月号)(3)
松浦寿輝 「花腐し」(『群像』2000年5月号)(2)

町田はパンクロッカー、松浦は大学教授で「異色の
取り合わせ」として報道される。
岡崎祥久の候補作「楽天屋」は同年の野間文芸新人
賞を受賞。

第124回(2000年下半期)
受賞:
青来有一 「聖水」(『文學界』2000年12月号)(5)
堀江敏幸 「熊の敷石」(『群像』2000年12月号)(初)

第125回(2001年上半期)
受賞:
玄侑宗久 「中陰の花」(『文學界』2001年5月号)(2)
備考:玄侑は当時臨済宗福聚寺の副住職(その後住職)。

第126回(2001年下半期)
受賞:
長嶋有 「猛スピードで母は」(『文學界』2001年11月号)(2)

第127回(2002年上半期)
受賞:
吉田修一パーク・ライフ」(『文學界』2002年6月号)(5)
備考:佐川光晴の候補作「縮んだ愛」は同年の野間文芸新
人賞を受賞。

第128回(2002年下半期)
受賞:
大道珠貴 「しょっぱいドライブ」( 『文學界』2002年12月号)(4)
備考:島本理生は候補作『リトル・バイ・リトル』(講談社
により2003年の野間文芸新人賞を最年少で受賞。

第129回(2003年上半期)
受賞:
吉村萬壱ハリガネムシ」(『文學界』2003年5月号)(初)
備考:中村文則は候補作「遮光」で翌年野間文芸新人賞を受賞。

第130回(2003年下半期)
受賞:
金原ひとみ蛇にピアス」(『すばる』2003年11月号、すばる
文学賞受賞作)(初)
綿矢りさ蹴りたい背中」(『文藝』2003年秋号)(初)
備考:
綿矢は19歳11ヶ月、金原は20歳5ヶ月で、丸山健二の最年少記録
23歳0ヶ月を37年ぶりに更新。受賞作を掲載した『文藝春秋』は
雑誌としては異例の118万部を売り上げ、綿矢の『蹴りたい背中
村上龍限りなく透明に近いブルー』以来28年ぶりのミリオン
セラーとなった。
中村航は候補作「ぐるぐるまわるすべり台」で2004年野間文芸
新人賞を受賞。
絲山秋子は候補作『海の仙人』(新潮社)で2005年芸術選奨
部科学大臣新人賞受賞。

第131回(2004年上半期)
受賞:モブ・ノリオ 「介護入門」(『文學界』2004年6月号、
文学界新人賞受賞作)(初)
備考:覆面作家舞城王太郎のノミネートが話題となるが、
老人介護をラップ調の文体で描いたモブ・ノリオ「介護入門」
が受賞。モブは記者会見で「どうも、舞城王太郎です」と
挨拶し笑いを取る。

第132回(2004年下半期)
受賞:阿部和重グランド・フィナーレ」(『群像』2004年
12月号)(4)
備考:
阿部はすでに大作『シンセミア』で伊藤整文学賞、毎日出版
文化賞と中堅以上の作家を対象とする賞を受賞済みだった。
支持した選考委員の中には「(村上春樹島田雅彦に与え損ねた)
80年代の取りこぼしを繰り返してはならない」と話すものもいた
という(『朝日新聞』2005年1月14日付記事)。
田口賢司の候補作「メロウ 1983」は2004年のBunkamuraドゥマゴ
文学賞を受賞(浅田彰選考)

第133回(2005年上半期)
受賞:中村文則 「土の中の子供」(『新潮』2005年4月号)(3)

第134回(2005年下半期)
受賞:絲山秋子沖で待つ」(『文學界』2005年9月号)(4)

第135回(2006年上半期)
受賞:伊藤たかみ 「八月の路上に捨てる」(『文學界
2006年6月号)(3)
備考:一票も入らずに落選した中原昌也は『SPA!』誌上で
選考委員全員を批判し意趣返しをした。落選作「点滅……」
を含む『名も無き孤児たちの墓』(新潮社)は同年の野間文
芸新人賞を受賞。

第136回(2006年下半期)
受賞:青山七恵 「ひとり日和」(『文藝』2006年秋号)(初)
備考:
青山は23歳11ヶ月の年少受賞(受賞時点で歴代7位)
柴崎友香の候補作「その街の今は」は2006年に織田作之助
、2007年に芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。

第137回(2007年上半期)
受賞:諏訪哲史 「アサッテの人」(『群像』2007年6月号、
群像新人文学賞受賞作)(初)
備考:群像新人賞受賞作が芥川賞を取るのは村上龍「限りなく
透明に近いブルー」以来31年ぶり。

第138回(2007年下半期)
受賞:川上未映子 「乳と卵」(『文學界』2007年12月号)(2)
備考:
歌手としての経歴がある川上はメディアから注目された。
田中慎弥は候補作を含む『切れた鎖』(新潮社)で2008年三島
由紀夫賞を受賞。

第139回(2008年上半期)
受賞:楊逸 「時が滲む朝」(『文學界』2008年6月号)(2)
備考:楊は中国籍の作家で中国語が母語。日本語を母語とし
ない作家の受賞は初。

第140回(2008年下半期)
受賞:津村記久子 「ポトスライムの舟」(『群像』2008年11月号)
(3)

第141回(2009年上半期)
受賞:磯崎憲一郎 「終の住処」(『新潮』2009年6月号)(2)
備考:磯崎は大手三井物産人事総務部次長の肩書きを持つ。
派遣社員など底辺労働者を描く作家が増える中での受賞。

第142回(2009年下半期)
受賞:なし
備考
大森兄弟は史上初の合作による候補者。
受賞作なしは10年ぶり。

第143回(2010年上半期)
受賞:赤染晶子 「乙女の密告」(『新潮』2010年6月号)(初)

第144回(2010年下半期)
受賞:
朝吹真理子 「きことわ」(『新潮』2010年9月号)(初)
西村賢太苦役列車」(『新潮』2010年12月号)(3)
備考:親族に多数の文学者を持つ良家出身の朝吹と、中卒の
元肉体労働者の西村との対比が注目された。

第145回(2011年上半期)
受賞:なし
備考:本谷有希子は候補作「ぬるい毒」で同年の野間文芸
新人賞を受賞。また、水原涼芥川賞史上初となる平成生
まれの候補。

第146回(2011年下半期)
受賞:
円城塔 「道化師の蝶」(『群像』2011年7月号)(3)
田中慎弥 「共喰い」(『すばる』2011年10月号)(5)

第147回(2012年上半期)
受賞:
鹿島田真希 「冥土めぐり」(『文藝』2012年春号)(4)
備考:鹿島田はこの受賞で、笙野頼子以来二人目の野間
文芸新人賞・三島由紀夫賞芥川賞の主要新人賞三冠を達成。

第148回(2012年下半期)
受賞:
黒田夏子abさんご」(『早稲田文学』5号、早稲田文学
新人賞受賞作)(初)
備考:75歳の黒田夏子は、記録が残っている上では芥川賞
史上最高齢の候補・受賞者。また、初の横書きの受賞作でもある。

第149回(2013年上半期)
受賞:
藤野可織 「爪と目」(『新潮』2013年4月号)(2)
備考:いとうせいこうの候補作「想像ラジオ」は同年の
野間文芸新人賞を受賞。

第150回(2013年下半期)
受賞:
小山田浩子 「穴」(『新潮』2013年9月号)(初)
備考:松波太郎は候補作を収録した短篇集『LIFE』で同年
野間文芸新人賞を受賞。

第151回(2014年上半期)
受賞:
柴崎友香 「春の庭」(『文學界』2014年6月号)(4)

第152回(2014年下半期)
受賞:
小野正嗣 「九年前の祈り」(『群像』2014年9月号)(4)

第153回(2015年上半期)
受賞:
羽田圭介 「スクラップ・アンド・ビルド」(『文學界
2015年3月号)(4)
又吉直樹 「火花」(『文學界』2015年2月号)(初)

 

尚歴代の芥川受賞者は この人達です。

 

ざっと書き示したが、どうだろうか。
今年の又吉直樹以外、あまり知られていないと言うのが
若い人の実感だろう。

しかしこの先文学界を背負っていく、あるいは牛耳って
行かれるのがこの人達の誰かであるのは間違いないから、
小説家を志すなら、名前ぐらいは記憶にとどめておいて
も損はない。

芥川賞を取って以降活躍していない作家さんはあまりいな
いので巷ある賞と比べても、この賞が如何に値打ちある
賞かはわかるはずだ。

もし作家になりたいと思うのであるならば、少なくとも
彼らが受章した作品のせめて2,3作は読んでおくことをお
勧めする。

転生やら、魔法やら、メイドもいいが、もし間違って作
家になってしまったら、この芥川賞を取った先生達と
文学論を論じることがしにくくなり、肩身の狭い思いを
することは間違いないと思う。

いくら作家の世界に学歴が無用であろうとも、転生、
魔法、メイドだけでは文学の根っ子は語れない、恥をか
きたくなければ是非読むことをお勧めする。

そう言えばこんな記事もあった。

小説家が語る
こんな人は小説家に向いている。

保坂和志
「上下関係を苦痛に感じてしまう人」

丸山健二
「自分ならもっと凄い小説を書いてみせるとはりきって筆を
 取るような、そんなタイプ」

丸山健二
「形にこだわるのが嫌いで、決められたレールの上を行く
 ことに嫌悪感を抱き、力の強いものに従うことを嫌う人」

森村誠一
「会社で成功しない人が小説家として成功する」

逆に、こんな人は向いてないという人が

村上龍
「つらいとか、苦しいとか、これがすごいとかでやっている
 うちは、まだ僕はアマチュアじゃないかと思うんです。
 淡々とやるんですよ」

丸山健二
「酒にすがってしか生きてゆけないほど繊細な神経の持ち主は
 それなりの作品は書けるが、それを超える作品は絶対に無理」
薬物やアルコールは確実に脳細胞を死滅させるので、酒飲みは
小説家にむいてないとのこと。

石田衣良
「同業者の作家を崇拝するような人はプロには向いていない」
「ファンライターみたいな感じで誰かの真似で書いちゃう人は
 いるけど、そういう人はうまくないし消えちゃう」

小説家になりたい。
小説家で飯が食いたい。
小説家で有名になりたい。

小説家の卵は頑張っています。
でも本当の事言っちゃいますとね、、いや、やっぱやめと
きます。

ていうか言えないですよね。

本音なんか(笑)

 

言えば私が落ち込むだけです。
自分の発言で、自分を落とし込むなんて最低ですよね。

 

ですから敢えていいます。

 

作家は誰でもなれます。
努力は必ず報われます。

読んで、書いて、又読んで。

この継続こそが作家になる道

みなさん、
読んであげましょうね。
未来の作家さんの作品を。

そしてあなたの批評、いや、批評などどうでもいいんです。
とにかく読んでくれた、その事実だけが、未来の作家さんを支え
ているのですから。