fuuraの小部屋

小説や本について寡黙に妄想。小説家になろうのサイトで人気を得る研究。小説家になるにはどうしたらいいかを研究。でも結局は、まずは小説と詩を書こう 。

【小説 赤い携帯】 僕を好きにさせたのは先輩のせいですから

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「なによ・・その義務てのは」

「僕をここまで先輩を好きにさせたのは、先輩
 です。好きにさせた責任は取ってもらわない
 と困ります」
「なによ・・それ」

「部長から東京赴任を打診された時から決めて
 いました。
 僕一人では東京には行けないと。
 大阪に先輩残して、仕事なんか手につくはず
 ありません。
 東京には、先輩としか行きません」

さっきまで、あれほど肌寒さを覚えていたのに、
今では身体が火照って熱いくらいだ。

なによ・・このこ。
及川は、何を言ってるんだ。
私を騙そうとしているのか・・この男も。

何度も見つめ直しているが、眼差しは真剣だ。

「今日先輩が儀式とか言ってましたから、これ
 はいけないと心に決めたんです。
 きっと、誰かから、プロポーズされるんだと
 思ったんです。
 そりゃ、僕の方が後から先輩を好きになった
 んだけど、先輩を想う気持ちは、先輩の今付
 き合ってる恋人には、絶対負けません。
 第一、僕には先輩が絶対必要なんですから。
 戦わずして負けるなんて、最低な男だと、先
 輩が常々、僕に教えて
 くれてたはずです。だから、こうして僕も
 名乗りを上げたんです」

薫が何か言おうとするが及川は、かまわず、どん
どんまくしたてた。

「今日を逃したら、僕一生後悔すると思ったん
 です。
 とにかく先輩に告白だけは絶対するんだと。
 結果なんかどうでもいいんです。
 いや・・よかないけど
 ・・
 とにかく、告白する事が大事なんです。
 そう教えてくれたのは先輩ですし。
 どうせ僕なんか先輩の恋人と、比べたら月と
 すっぽんですから・・
 そりゃ僕が断られる事はわかりきってるんで
 すが・・
 でも、このまま尻尾巻いて東京なんか、絶対
 行けません。
 僕だって、男の端くれなんですから」

       続く

 

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