文学と占いは相通じるものがある

小説家になることを諦めた男のつぶやきです。

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マリ

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線路に沿って歩いてみた。

夏の暑い日差しが照り付けていたが

セミの声やら浜辺の波の音で

暑さはガードされ

空白の空間に私は浮遊していた。

 

前から来た列車も楽しげに

私を轢いていったが

列車は私の風船のようになった

亜空間をマリのように弾くと

そこにはマリ(真理)が立っていた

 

馬鹿ねえあんた

真理はそう言ってるようだけど

口の端をゆがめたまま言葉にはしない

 

真理は嫌いだ

大嫌いだ

真理のお蔭で私は線路を歩くことに

なったんじゃないか

それなのになんで真理は黙ったまま

私を蔑むんだ

 

馬鹿ねえ

今度ははっきりと聞こえた

真理は笑いながら私に近づいてきた

 

いきたいんでしょ私と

生きたいっても真理はもう、真理はもう

真理は又口の端をゆがめると

だから逝きたいんでしょ私と

手を差し出してきた

 

危ない!

私は慌てて線路からとびのいた

そこを列車が轟音を立て通り過ぎていった

 

真理、真理、真理

頭のなかで真理が踊っている

 

何故こなかったの

私の所に

 

あれ、、セミたちはどこにいったんだろう

私はゆっくり立ち上がると汗を拭った

手をポケットの中につっこむと

そこに真理がいた

 

セミたちが又鳴きはじめたのがわかると

私は周りを見渡した

 

ポケットの中の真理を握りしめ

ちぇっ!と舌打ちをした

 

真理なんてどこにもいないくせに

 

 

小説の館に

 

 


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