fuuraの小部屋

小説や本について寡黙に妄想。小説家になろうのサイトで人気を得る研究。小説家になるにはどうしたらいいかを研究。でも結局は、まずは小説と詩を書こう 。

小説

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳  最終章

「君とつき合う男は不幸になるからかい」「それもあるわ」 「他には」 「けだるいのよ。愛だの、恋だの、そんな甘いたわごと」 「ずいぶんせつない事を言うんだな」 「それが・・私」 「心にもないことを」 「夢だったの・・これは」「夢なんかじゃないさ・…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 ー10

「私は、そういうめんどくさい人間なんだ」「抱きあって・・それでいいじゃない」 「君の瞳はそう言ってない」「私の瞳が?」 「君の瞳も悔いている。」「私は何も悔いてはいないは」 「私たちは、どうやら、出会う扉を間違えて開けてし まったみたいだ」「…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-9

「わかった事がある」「なにが?」 「君が・・いや、私の心がなぜこうも、ささくれ だってるかが」 「・・・」 「苛立ってる原因がさ」 「私は何も苛立ってはいないわ」 「じゃあ、怒っているかだ」 「怒ってもないわ」 「私は怒ってる」 シャワーの元栓を止…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-8

湯気が立ち昇っていない。沙希は水のシャワーを浴びているのだ。 「なぜ、水なんだ」 「夢を流すには、水が最適なの」 「夢が流れきる前に、もう一度君を抱きたい」 「・・」 「君をもう一度抱きたいんだ」「無理・・」 「どうしてだい」 私は無理やり沙希を…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-7

「信じないでしょうけど、こんな事初めてよ」「こんなこと?」 「酒場で知り合った男と、ホテルでこんなこと する事よ」 沙希の唇が私に、軽く触れた。 そのまま、強い口づけをしようとしたが、いやいやをするように顔を離すと ニコリと笑った。 「帰らなき…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-6

「あのね。いいこと教えてあげましょうか」 「いいこと?」 「そう。素敵に縁起のいいことよ」 「ビーナスの話かい」 「残念。悪魔の話」 「宇宙の次は悪魔かい」 「ふふ・・あたしに関あり会う男は、みんな不幸に なるのよ」 「で・・?」 「だからあたしは…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 -5

「あたしのこと・・すき」 「どうして」 「聞いちゃ いけなかった」 「好きさ。好きでなきゃ・・こんな事しないだろ」 私は沙希を抱きしめようとしたが、そのままスルリとすり抜けると私の背後に回った。 私にまきついた沙希の腕は、金属のライターのように…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 -4

「さき・・さき だったよな確か」「やっと思い出した、、て顔ね」 「ふくだ さき だったよね」 「ふくだ さき さんでしょ」 そう言うと、また、コロコロと笑う。どう考えても、感性は私より年上だ。 居酒屋で偶然隣合った女だ。 真っ白なスーツに身を包んだ…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-3

思いついたように煙草を吸おうと手に取ったが、そのまま下に落としてしまった。 「あんた、いい人ね」 「・・・」 そう笑うと、女は、ベットの隅に投げ捨ててあったバスタオルを掻き寄せると、器用に胸にまいた。 「目の保養はこのくらいの時間が丁度なの」 …

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿るー2

「何考えてたの」「ん・・」 「あたしが寝てるふりしてた時」「寝てなかったのか」 「怖い顔してたから、寝たふりしてたの」「怖い顔なんかしてないさ」 「じゃ、面白い顔に訂正してあげる」「おもしろいことを言う人だ」 「ねぇ・・私の名前覚えてないんで…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 -1

女を抱いた後の寂寥感は空しい。 白けた暗闇の水たまりが、心のあちこちにできあがるからだ。やがてその水たまりが、一つの塊になって、一気に私の心を(ストン)と異次元に放り投げる。 そこでどうなる。 白けたまま、煙草をふかし、動揺を見透かされないよ…

【小説 赤い携帯】  こんな携帯折ってやる!

「及川君」 空を見つめたまま薫が及川に言った。 「はい」「及川君お願いがあるの」「は・・はい」「これ、海に投げ捨ててくれる」 薫は、自分の携帯を及川に渡した。 突然携帯を手渡され、及川も驚いた。 「先輩、携帯捨てちゃっていいんですか」「いいの」…

【小説 赤い携帯】  そうよね五年は長すぎるわよね

埠頭の広場につくと、薫が車を駐車する場所を指定してきた。 海岸に一番近い端っこの駐車場だ。 「少し歩きましょ」 及川の返事も待たず、薫は一人先に出ると、そのまま海岸べりに向かって歩き出した。 真っ赤な、高いヒールをコツコツ鳴らしながら、薫は前…

【小説 赤い携帯】  捨てられない缶コーヒ

車の中では無言だった二人。 星空に押しつぶされそうな車内で、聞こえるのは、時折放つ及川の空咳のみ。 堤防の細い道は、そのまま闇の中に車を引きずり込もうとしているようだった。 聞きたい事は山ほどある。YES・NOの返事も聞かされていない。 及川…

【小説 赤い携帯】 先輩答えてください

「先輩。答えてください 」 頭を下げたまま、及川が悲痛な声で叫んでいる。 いさぎよい。 ほれぼれするほど潔い。5年待っててくれと逃げ去った勝也とは大違いだ その「5年待ってくれ」の言葉にしがみついて生きてきた薫とは大違いだ 戻さなきゃ。時を。突…

【小説 赤い携帯】  会社辞めます

「先輩。答えてください」 及川が土下座したまま催促してきた。 「返事をください」 「お願い。頭をあげて」「嫌です。返事を聞くまではこのままでいます」 「東京には行くべきよ」「先輩と一緒になら行きます」「そんなわがまま会社が許すわけ無いでしょ」…

【小説 赤い携帯】 及川のいない生活なんて考えられない

顔どころか、全身が火照ってしょうがない。 目の前で土下座する及川を見て、薫もどう対応していいのか戸惑っていた。 及川が、、私にプロポーズ。私が、及川の、お嫁さん及川と私が一緒に。 初めて及川が赴任してきた時、当時課長だった吉木が、 「ひ弱そう…

【小説 赤い携帯】 お願いです。一生のお願いです

言いたい事を言いきったのか、及川はすっきりした眼差しで薫を見つめていた。 長い演説だ。 この男にこれだけのボキャブラリーがあったこと自体(感動)だ。 あの無口の、あの照れ屋の、あの奥手の、あのどうしようもない及川が、今、たらたら、演説した し…

【小説 赤い携帯】 僕を好きにさせたのは先輩のせいですから

「なによ・・その義務てのは」 「僕をここまで先輩を好きにさせたのは、先輩 です。好きにさせた責任は取ってもらわない と困ります」「なによ・・それ」 「部長から東京赴任を打診された時から決めて いました。 僕一人では東京には行けないと。 大阪に先輩…

【小説 赤い携帯】 祝ってあげなければ、私は先輩なんだから

及川が東京に・・ 考えてもみなかった。それだけに、薫が受けたショックは大きい。 及川の東京赴任もさることながら、それを聞いた自分の狼狽ぶりに愕然としたのだ。 喜んであげるべきだ。笑顔で、肩を叩き 「やったじゃないか」 そう言って、軽い抱擁でもし…

【小説赤い携帯】 星がきれいすぎるなんてあんたのガラじゃないでしょうに

「先輩・・お客様は女性だったんですか」 グラスを片ずけながら、及川がニタリと笑う。 「なんで女とわかるのよ」「だってグラスに口紅ついてましたもの。先輩 と同じ、真っ赤なやつ」 及川が嬉しそうに言う。 「君は探偵か」 思わず噴き出してしまった。さ…

【小説】赤い携帯 私はいったい今日まで誰をしのんでいたのだろうか

「で・なんなの話って」「あ・・」 そういうと及川は急に立ち上がった。 話しにくそうだ。 「熱いコーヒ入れましょうか」「ここは私の部屋よ」 そうは、言ったものの、どこに何があるか、及川の方がよく知ってる。 もともと、嗜好品は及川が買ってきて、薫の…

【小説】赤い携帯  及川が部屋に上がってキョロキョロと

及川が突っ立っていた。 まっすぐ、直立不動だ。手には、一目でケーキとわかる箱を持っている。 単純な奴だ。 「及川、夜中に女性の部屋訪ねていいと思ってるの」 少し、白々しいか。口を尖らして言ってみた。 及川は、酔った薫を何度もこの部屋に投げ込んで…

【小説】 赤い携帯 儀式は中断だ。後輩の及川が来た!

携帯をつかんだが、出る勇気がない。 少しためらいながら・・それでも、勇気を出して相手の電話番号をのぞいてみた。 「でくのぼう」と出ていた。 後輩の及川だ。 あまりに、もの覚えの悪い及川に、業を煮やした薫が、冗談半分に書き換えた、及川のアドレス…

【小説】赤い携帯  嘘なったよ!携帯が

うたた寝をしたのだろうか。遠くの方で携帯のベル音が鳴っている。多分・・携帯だ。 意識の焦点が合わさるまでに、時間がかかった。 少し窓が開いていることに気づき、目で追ってみた。 星空がそのまま、落ちてきそうなくらい重たげな空だ。 ごろり頭を転が…

【小説】赤い携帯 儀式なんてやって、あたし馬鹿じゃないの

左手で携帯電話を握り締めたまま窓を開けた。 冷たい風がヒンヤリ。とても心地よい。 壁際に転がってるワイングラスはもう空っぽだ。 頭を振ると、視界もぐるぐる回る。 流れ星らしきものが流れたと思ったが、よく見れば遠めの外灯だ。 酔っぱらいのおっさん…

【小説】赤い携帯 映画の様に盛り上がらない儀式は誰のせいだ!

「勝也。これが最後よ」 そう言うと、薫はワイングラスを誰もいない空席のグラスにあてた。乾いた音が室内に響くと、振動の余韻が、かすかに、勝也の記憶を呼び戻した。 今さら何よ・・頭を振ると・・ 「乾杯!そしてさようなら」 一気にグラスのワインをあ…

【小説】赤い携帯 その2 さあ儀式を始めるぞ

帰宅途中。お気に入りのケーキ屋で色鮮やかな、ケーキを買い、今日の為にとっておいたワインをあけた。 ワインの味は勝也が教えてくれた。芸術家を気どった、胡散臭い男だ。そんな、胡散臭い男に、薫はストンと恋に落ちた。 ろくでなしの自分には、こんな男…

【小説】 赤い携帯 その1 及川と薫先輩 

休憩室で缶コーヒーを飲みながら、赤い携帯をいじってる薫に 「どうしても今日は駄目なんですか?」 及川がすり寄っててきた。 薫がいじる、赤い携帯に目を向けたが、さも、見てないふりをして、薫の横に座った。 「そんなに、くっつくな!」 薫が、大げさに…

存在を消すしかないのよ (短編)

臭い。匂う。かなわない。夫が臭いと、最初に言い出したのは10歳になる娘だ。幼い頃は「パパ・パパ」とまとわりついて離れなかった娘。今では寄りつきさえしない。私から見ても夫に非があるとは思えないのだが、娘に言わせると「うざい」そうだ。何がうざ…

丸まった靴下

離婚の原因は丸まった靴下。今思い出せば間違いない。すべての始まりはあの丸まった靴下からだ。夫と結婚して6年。いけ面とまではいかないが、まあまあのフェイス。一流企業に勤めているし、背が高い。遠目で見れば、結構いけてる。釣られたふりはしてやっ…

雉も鳴かずば撃たれまい (小説)

女は身勝手だ。身勝手さを自覚しないから女とも言う。それは私が男だから思う事ではあるのだが・・ by・・煙草をくゆらす中年男の独白私の生活スタイルは夜型だ。 嫁はごく普通の生活スタイルだから、当然時間が合わない。最初の頃は、お互いに時間を合わす…

察しのいい女 (短編)

言わしてもらうけど、変じゃない。ねっ・・お願いだから、もう少し考えて話してくれる。私は察しがいい女だから。この間、あなたは沙織が北村君の事を好きだと言ったわね。沙織は美人だから、スポーツ万能の北村君とはお似合いだと言ってたわね。そうよ。そ…

或る日 (短編)

絵葉書が送られてきた。山岳写真だ。老いた二人の男女が、年甲斐もなく Vサインを出して楽しげに写っていた。峰子の友人、照代からのハガキだ。照代夫婦は、つい1月程前までは、峰子の隣に住む住人だった。閑静な住宅街で、裏にそびえる小高い山が四季のい…

熟した果実の落ちる頃

熟した果実の落ちる頃 fuura 仙吉さんがふぬけになったのは ほん 三日前。その日はちょうどお千さんが亡くなった日。日本橋の、ねきからのびる、しなだれ柳の枝に紐をかけ、首をくくったのだ。仙吉さんがおせんさんに気がある事は、もう有名。小町のお糸や、…

小説 娘と母  【短編】

母と娘 母さん私あのお姑さんとはもうやっていけないわ。 お金持ちの家に嫁いだ娘が泣きながら戻ってきた。聞けば、姑が娘のやることなす事に、難癖をつけるという。母は娘の愚痴を何時間も何時間も聞き続けた。別れれば事は簡単なのだが、そうもいかない。…

小説 携帯電話の怨念 (短編)

私の夫はぐうたらだ。脱いだものは人型のままあちこちに、立っている。電気はつけっぱなし、洗面台はぐしょぐしょ、会社に遅刻は平気でするし、休日はテレビの前から動かない。たまに静かになったと思えばゲームに没頭。そのくせ食事の時間だけは忘れない。…

小説  胸元のほくろ  短編

胸元のほくろ fuura 「おい、掃除機,いつかけた?」 「昨日」 ソファーにねころび、お煎餅をかじりながら、そのままの姿勢で、無愛想に答えてやった。 「今日はかけてないんだな」 会社から帰宅するなり、そう言い放つといきなり掃除機をかけだす主人。 ガー…