fuuraの小部屋

小説や本について寡黙に妄想。小説家になろうのサイトで人気を得る研究。小説家になるにはどうしたらいいかを研究。でも結局は、まずは小説と詩を書こう 。

小説

小説 浮気騒動顛末記 1

小説 浮気騒動顛末記 1 災難の到来が、予言出来ないから、災難というのだろうが、災難は本当に、ある日突然湧いてくる。 津川の嫁、多江さんに相談された。 「主人が浮気してる。あんたなんか知ってるでしょう」 敵はするどい。突いてくるところに間違いは…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 最終章

「そしてね・・拓也さんが元気だと知った凛音 は、それでもう、すっかり安心したのか、私 にね・・私を・・こう・・じっと見てね・・ 弱弱しいけれど、微笑んでね、そして・・一 言だけいってくれたの ・・言ってくれたのよ 凛音は。 ・・・ありがとう・・て…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十九話

「拓也が私の中に降りて来て、そこで私は初め てわかったの。私も辛いけど、立花さんも辛 い。拓也も無念だろうが、凛音さんだっても っと辛かったに違いないって」 立花は、まっすぐ私を見つめていた。手には、真っ白なハンカチを握り締めて。 「もし、ここ…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十八話

凛音は、拓也と同じく社会人一年生。 状況も拓也と同じく、あの刺されたマンションで新しい人生の第一歩を踏み出すはずだった。 おそらく拓也と同じように、未来に夢を抱きながら、玄関を開けたに違いない。 そこでいきなり男に腹を刺されたのだ。 凛音と刺…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十七話

「思いこみなんかじゃないのよ」 まっすぐ、立花の目を見ながら私は力強く言い切った。 「実は、私も半信半疑だったの。拓也が私の中 に来るなんて、思いこみも激しい・・て、思 ってたけど、さっき立花さんから、御嬢さん のお名前聞いて愕然としたの。だっ…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十六話

私が死のうと思っていたのに嘘偽りない。 拓也のいない人生なんて、私には考えられなかった。 私が思い描く楽しい未来の姿図には、拓也は必要不可欠な存在だった。 拓也のいない未来に、私の未来もない。 拓也の脳死を受け入れられなかったのは、自分の死の…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十五話

指定した橋の中ほどに、立花は小さく立っていた。 紺のスーツに身を包み、横に並べば、私より頭一つは大きい立花は、とても小さく見えた。 小さくさせたのは私だ・後悔の念が風と共に私をピシリと打つ 蒼ざめた表情は、まるで能面のようだ。 生きた証が見受…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十四話

握った携帯の向こうから力ない女の声が響いた。 私が自分の名を名乗ると、口調が変わった。 最初に出た、気だるそうな口調から一変し、ハキハキとした、娘を女一人で育て上げた、気丈夫な女の声に戻った。 偽りだ。演技をしている。この母親は。 悲しみと怒…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十三話

病室のテーブルに置かれたままになっていた一枚の名刺。 私は思い切ってそこに電話をかけた。 土下座までして許しを請うた、拓也が命まで賭けて助けようとした、女性の母だ。 女手一つで育て上げた最愛の娘が、ストーカーの一突きで命を落とした。 その心情…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十二話

突然の私の言葉に、医師は呆然と立ちすくんでいた。 いや、驚いたのは言った私もだ。 そんなことを言うつもりは毛頭なかったのに、気がつけば、気持ちとはまったく違う事を言い切っていた。 漠然と感じるのは、脳の奥底で、誰かが私を操っている・・ 「拓也…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十一話

背後にお医者さんの気配を感じたが、私は無視した。 どうせ、言う事はわかっている。 息子は脳死だ。このまま機械で生きながらさせていても、生き返りはしない。 拓也は、ドナー提供を承諾している。息子さんの身体を譲ってくれと・・・ 勿論、露骨にそんな…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第十話

息子の名は拓也。まだ23歳だ。 大学を卒業し、本社で研修の後、初めて赴任先の会社に行くその朝、災難は襲った。 災難と言っていいのか?私にすれば災難以外のなにものでもないが、拓也にすれば自らの意思といえない事もない。 一人暮らしを始め、初めての…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第九話

凛音の機械を止める事は、おそらく自分の人生に終止符をうつことだと、漠然とわかっていた私だが、なかなか機械を止める事は出来なかった。 自分が死ぬことに恐怖は何もない。 このまま凛音と会えなくなってしまうかもしれない、その未来が私を躊躇させたの…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第八話

病室のベットで、色んな機械に結ばれた凛音は、脳死だという。 医者に言わせれば脳死は死と同じだそうだ。 私が承諾さえすれば、色んな機械によって生かされている凛音は、機械を止められ、すぐ死ぬという。 脳死だから、もう生き返る望はゼロだという。 医…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第七話

凛音の為のセコンドの勉強もした。 凛音も喜んで私をリングに上げてくれるといった。 詰め込むだけ詰め込んだ知識を後ろ盾に、私の初セコンド日は、凛音の世界チャンピオン初防衛戦の日に決められた。 ラスベガスの大きな会場は満席だった。 私は、凛音以上…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第六話

「じゃ・・行くわよ」 そう言って私の手を引いた凛音の手がいつもより分厚い。 後ろから見る凛音の背中が、がっしりと感じられる。 あたり前だ。 今回は、凛音が女子プロレスラーの選手で私がその旦那の役回りだった。 大人気の凛音に比べ、私はうだつのあが…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第五話

「なにしてるのよ。行くわよ」 同じフレーズで、同じように私の手を引くと階段を降りる。 今度は何なんだ・・ スポーツ芸術政界映画監督・・・ 私は、すべてのジャンルで、人生を全うし、すべてのジャンルで大成功し、素敵な妻と楽しく暮らし、出来過ぎた子…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第四話 

「なにしてるのよ。行くわよ」 凛音が私の手を引き階段を降りはじめた。 デジャブ・・錯覚・・・夢・・・ おぼろげな記憶がぐるぐる回るが、掴まれた手から感じる凛音の感触が妙に生々しい。 なんなんだ・・これは。 疑問と言うより、問いかけに近いつぶやき…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第三話

病院のベットに伏せ、私は今にもこと切れようとしていた。 75歳の冬だ。 ふと、思う。胸の中で地味にくすぶっていた凛音に刺された、あれは、結局夢だったのだ。 もうすぐあの世に旅出そうとしているのに、不思議と含み笑いが消えない。 思い起こせば楽し…

霊と怨念のはざまに漂う鐘楼流しの詩に花一輪 第一話

人の気配がしたので振り向くと、そこには凛音(りんね)が立っていた。 私の嫁だ。 綺麗というだけでは惜しいくらいの美人だ。 後ろに手を組みジッと私を見ている。 頬笑みながら私に近づくと、いきなり後ろ手に握っていた包丁を私の腹に刺した。 不思議と痛…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳  最終章

「君とつき合う男は不幸になるからかい」「それもあるわ」 「他には」 「けだるいのよ。愛だの、恋だの、そんな甘いたわごと」 「ずいぶんせつない事を言うんだな」 「それが・・私」 「心にもないことを」 「夢だったの・・これは」「夢なんかじゃないさ・…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 ー10

「私は、そういうめんどくさい人間なんだ」「抱きあって・・それでいいじゃない」 「君の瞳はそう言ってない」「私の瞳が?」 「君の瞳も悔いている。」「私は何も悔いてはいないは」 「私たちは、どうやら、出会う扉を間違えて開けてし まったみたいだ」「…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-9

「わかった事がある」「なにが?」 「君が・・いや、私の心がなぜこうも、ささくれ だってるかが」 「・・・」 「苛立ってる原因がさ」 「私は何も苛立ってはいないわ」 「じゃあ、怒っているかだ」 「怒ってもないわ」 「私は怒ってる」 シャワーの元栓を止…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-8

湯気が立ち昇っていない。沙希は水のシャワーを浴びているのだ。 「なぜ、水なんだ」 「夢を流すには、水が最適なの」 「夢が流れきる前に、もう一度君を抱きたい」 「・・」 「君をもう一度抱きたいんだ」「無理・・」 「どうしてだい」 私は無理やり沙希を…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-7

「信じないでしょうけど、こんな事初めてよ」「こんなこと?」 「酒場で知り合った男と、ホテルでこんなこと する事よ」 沙希の唇が私に、軽く触れた。 そのまま、強い口づけをしようとしたが、いやいやをするように顔を離すと ニコリと笑った。 「帰らなき…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-6

「あのね。いいこと教えてあげましょうか」 「いいこと?」 「そう。素敵に縁起のいいことよ」 「ビーナスの話かい」 「残念。悪魔の話」 「宇宙の次は悪魔かい」 「ふふ・・あたしに関あり会う男は、みんな不幸に なるのよ」 「で・・?」 「だからあたしは…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 -5

「あたしのこと・・すき」 「どうして」 「聞いちゃ いけなかった」 「好きさ。好きでなきゃ・・こんな事しないだろ」 私は沙希を抱きしめようとしたが、そのままスルリとすり抜けると私の背後に回った。 私にまきついた沙希の腕は、金属のライターのように…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳 -4

「さき・・さき だったよな確か」「やっと思い出した、、て顔ね」 「ふくだ さき だったよね」 「ふくだ さき さんでしょ」 そう言うと、また、コロコロと笑う。どう考えても、感性は私より年上だ。 居酒屋で偶然隣合った女だ。 真っ白なスーツに身を包んだ…

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿る訳-3

思いついたように煙草を吸おうと手に取ったが、そのまま下に落としてしまった。 「あんた、いい人ね」 「・・・」 そう笑うと、女は、ベットの隅に投げ捨ててあったバスタオルを掻き寄せると、器用に胸にまいた。 「目の保養はこのくらいの時間が丁度なの」 …

ぼやけた女にくすぐられた男の瞳に愛が宿るー2

「何考えてたの」「ん・・」 「あたしが寝てるふりしてた時」「寝てなかったのか」 「怖い顔してたから、寝たふりしてたの」「怖い顔なんかしてないさ」 「じゃ、面白い顔に訂正してあげる」「おもしろいことを言う人だ」 「ねぇ・・私の名前覚えてないんで…